フランス女性はいくつになっても女を捨てない

 フランスで暮らしていると、この国では感心することもできないこともいろいろありますが、同性としてつくづく刺激されるのは、フランス女性はいくつになっても女を捨てない、ということ。杖をついた熟年女性もぬかりなくおしゃれをしてマルシェ(朝市)で買い物をし、車椅子に乗った女性もふんわりフェミニンなワンピースを着て、通り過ぎていきます。
「女性らしさ」のありようは、人それぞれ。「女を捨てない」という表現も「女性らしさへのこだわり」も女性蔑視じゃないかと言う向きもあるけれど、フランス女性を見ていると、そんなことはどうでもよくなるほど、魅力的。マルセイユの港で獲れたての巨大なタコと格闘する漁師の妻も、ギンガムのかわいいワンピース姿だったりします。フランス男が50、60になっても妻を女性として扱い、「きれいだね」「愛してるよ」とチヤホヤするのは、女性たちの気合と努力の賜物といえるかもしれません。

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 フランスは、ヨーロッパでもっとも太った女性が少なく、もっとも下着の売り上げが高い国。美容院に行くと、 女性たちは皆、こまごまと美容師に指示を出し、気合に満ちています。ヘアスタイルを変えようと美容師に相談したとき、「どうせなら、ばっさり短く切ろうよ。でも心配しないで。セクシーでフェミニンに仕上げるから」と何度もその美容師は「セクシー」「フェミニン」を繰り返しました。私は20歳ではない。その2.5倍も生きている。なのに、セクシー? と違和感を感じたとき、そういえば、この国では「こうしたら若々しく見えますよ」と言われたことが一度もないことに気づいたのです。たぶん、そういう発想すらないのだと思う。大切なのは、40なら40 、60なら60のセクシーさと女性らしさ。

 フェミニン+ほどほどセクシー+ナチュラル+知性+ユーモア。これが“美しいフランス女性”の特性だと思って観察しているのですが、こればかりは誰かのコピーで即席に作り出せるものではありません。それは、その人の内面から、じんわりとにじみ出るもの。洋服やスタイルのよさや顔の造作だけでは成り立たない美というものがある。

マダムが自信たっぷりに着るからこそ美しい、真っ赤なドレス
マダムが自信たっぷりに着るからこそ美しい、真っ赤なドレス

 ところで、ここ数年、南仏のビーチでは若い世代のトップレスが減ってきましたが、まだまだトップレスは多く、相変わらずフランス女性の大多数はビキニ派です。子供からおばあちゃんまで、皆ビキニ。私は、日本ではとうていビキニなんて着られませんが、フランスではむしろワンピースの方が目立ってしまうので、ここに来てからは郷には郷に、というわけで、ビキニ。私と同じくビキニを身につけたことがない女性の皆さんは、ぜひ一生に一度、南仏でビキニ姿を満喫してください。

 ここだけの話ですが、ダヴィッドと一緒に、南仏にいくつもある「ヌーディストビーチ」のひとつに行ったことがあります。「ここから先はヌーディストビーチです。ご注意下さい」と立て看板があるのですが、その先は、本当に、みんな、真っ裸。カップルから家族連れまで、いろんな人たちが普通に全裸でゴロゴロ日光浴したり、海で泳いでいたりします。砂遊びするおばあちゃんと孫たちも、みんな裸です。もしかしたらのぞき見趣味の人も混ざっているかもしれませんが、基本的には、自然回帰主義的な考え方の人が多いのだと思います。ビーチでゴロゴロだけでなく、自然の中で全裸でトレッキング、なんてことをしているグループもいるようですが、さすがにそれはまだ体験していません(*連載2で「裸で寝る」話を書いたので、裸族だと思われるかもしれませんが、決してそうではありません(^_^;) 単なる好奇心です)。

 そのヌーディストビーチで、近くにいた女性が私たちのところに 「ライター持ってますか? 裸でなんですが(^_^;) 」と笑いながらやってきたのがなんだかとてもほのぼのした可笑しみがあって、あぁ、昔の日本の裸の付き合いとやらもこんな感じだったのかな、と笑ってしまいました。

 話が逸れてしまいましたが、いくつになっても女を捨てない、フランス女性のそのモチベーションは、いったいどこから来るのでしょう。
自分自身が心地よくありたいから。
いつまでも夫に愛されたいから。
女性として当然のことだから。
いくつかの理由があると思いますが、何歳になっても恋愛可能な自由な雰囲気も、ひとつの理由にあげられるかもしれません。

私の周りを見回してみても、
例① 年末に離婚した48歳男性。3月末にはこんな電話が。「新しい彼女とサナリーのホテルでプチヴァカンスしてるんだけど、一緒に食事でもどう?」(ちなみに、新しい彼女は年上)

例② 80代半ばの男性。彼女(60代半ば)に振られて傷心。その彼女は、50代の新しい若いボーイフレンドができて、ラブラブ。

例③ 子供が一人いる友達カップル(30代)。夫に若い彼女ができ、突然、家を出てしまった。現在、離婚調停中。しかも、発覚したのが結婚記念日。「私たち、年をとったらどんな夫婦になっているのかしら」(妻)。「……僕の未来に、君はいないと思う」(夫)。「え? どういう意味?」(妻)という会話から、離婚調停に至る。

例④ 1年前に妻を病気で亡くした友人男性69歳が入院。息子が見舞いに行くと、横に女性が。「パパ、それならそれで早く話してほしかった」と、未だ母を亡くした悲しみが癒えていない息子から呆れられる。

……とまぁ、枚挙にいとまがない。
熟年になってから恋愛するなんて世間体が悪い、という空気がなんとなく日本にはあったような気がするのですが、こちらフランスにはまったくありません。別れてもすぐ好きな人ができてしまう人が多いようだし、その様子を見ていると、これだけ「ジュ・テーーーム」と毎日のように言っていても、気が変われば、あんがいアッサリしたものだなと驚いたりもします。

 かくゆう私はといえば、「セクシー」「フェミニン」の努力をずっと後回し。フランセーズを見習って、そろそろ一念発起しなければと焦り始めているこの頃です。

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2週間花瓶に生けてあったバラの花を見て、はっとしました。縁がよれてきていますが、若くてハツラツしているバラにはない美しさがあると思いませんか?
2週間花瓶に生けてあったバラの花を見て、はっとしました。縁がよれてきていますが、若くてハツラツしているバラにはない美しさがあると思いませんか?

◉簡単おうちフレンチレシピ

パセリがいっきに伸びてくる春。
まとめて作っておくと重宝する
「パセリバター」

<材料>
無塩バター 250g
パセリの葉 こぶしくらいの量
ニンニク 大6片
※塩を入れないほうが、料理に応じて塩味が調整できてよい

<作り方>
①バターを常温でやわらかくしておく
②パセリとニンニク(スライスしたもの)をフードプロセッサーやチョッパーなどでみじん切りにする(包丁でも)
③器に①を入れ、パセリとニンニクを加え、スパチュラでよく混ぜ合わせる。
④完全に一体化したら、広げたサランラップの上に棒状にのばし、両側をしっかり閉じる。このとき、空気が入らないように、片側づつ、ぎゅっと内側に圧を加えて空気を圧縮する
⑤冷蔵庫か冷凍庫で冷やす。冷凍庫なら半年くらい保存可能。必要な分だけ包丁でカットして使用する
ステーキ、パスタ、ムール貝やツブ貝のファルシーなどに利用

<ムール貝のファルシーの作り方>
①ムール貝をよく洗い、ひげをとり掃除する
②熱湯で茹でる。約2分。
③ざるにあげ、冷水で冷やし、しっかり水を切る。
④ムール貝の片側をとり、貝のあるほうにスプーンでパセリバターをたっぷりのせ、耐熱皿に並べていく。水分が残っている場合は取り除き、バターをのせる。このとき、貝が安定するように米か塩を敷くといい。何も敷かないと不安定だが、最後に下にこぼれた美味しいバターをパンにつけて食べる楽しみがある。お好みで。
⑤パン粉と塩を少々ふりかける
⑥180度で温めておいたオーブンで10分ほど焼く。バターが溶け、パン粉がこんがり色づく程度に。オーブントースターでも可

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町田陽子
町田陽子 Yoko MACHIDA
南フランス在住
エディター。執筆
2017年1月に著書『ゆでたまごを作れなくても幸せなフランス人』(講談社)を刊行。
「南仏プロヴァンスの旅アラカルト」主宰
シャンブルドット「Villa Montrose」(ヴィラ・モンローズ/フランス版民宿)を営み、元料理人のダヴィッドが日本語で観光チャーターや料理教室、ターブルドットを担当しています。毎年3月開催の阪急うめだ本店「フランスフェア」をコーディネイト。
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