CAFE

ニューヨーク=おしゃれな街

リーザ

コーヒーを片手に颯爽と歩いているスーツ姿のキャリアウーマン、セントラルパークで早朝ランニングをしている金髪の学生、アコースティックな音楽のかかるおしゃれなカフェでパソコンを開いているメガネの彼…

そんな一見絵に描いたような街に見えるニューヨーク。

しかしキラキラして見える彼らもそれぞれ悩みを抱え、色々な思いを持って生活している。

そんな様々な人たちの人生の1ページを垣間見ることができる意外な場所、カフェ。
忙しい毎日を送っているニューヨーカーが一瞬だけほっと一息リラックスできる空間。

隣に座っている人との不意に始まる会話であったり、バリスタさん同士の小粋なやりとりから垣間見る人間模様。

“How are you, today?”

から始まるカフェの魅力を今回の連載でお伝えしていきたいと思います。

今回フォーカスしたいカフェは、マンハッタンのダウンタウンSOHOにある「Sweet Moment」。

カフェの激戦区とも言われているSOHOに先月オープンしたばかりにも関わらず店内は人でいっぱい。
シンプルな店構えでありながら、通りがかった人を惹きつける。
ドアを開けてみると中は木目調で統一された自然なテイストな調度品に白いレンガの壁、上を見上げるとおしゃれな電飾、木で埋め尽くされた天井。
「Sweet Moment」のネオンサインが壁にかかっている下にはベンチがそっと置いてあり、かわるがわる座って賑やかに写真を撮っている女性客が目を引く。

そんな店内をにこやかに見つめながらコーヒーを作っているのが今回の主役Ujae(ウージェー)さん。

笑顔が素敵なバリスタ兼マネージャーの彼に話を聞いてみました。

このカフェの魅力はなんと言ってもCreamart(クリームアート)。
Creamartとは、Cold Brew(水出しコーヒー)の上にホイップクリームの層を作り乗せ、その上にアートを施す、いわゆるラテアートのアイスバージョン。

私の名前も入れてくれる粋で優しいUjaeさん。

Creamartは韓国のバリスタKajun・Leeさんという方が、ホットドリンクでしか作れないラテアートをどうにかしてアイスでも提供できないものか、と試行錯誤を繰り返した結果生み出されたものだそう。
その彼とのコラボレーションの結果アメリカで初めてCreamartを提供したのがUjaeさん。
初めての自身のカフェのオープンにあたり、何かニューヨークで新しいもの、そして自分のルーツである韓国のもの、ということでCreamartをカフェの看板メニューにすることを決断。
そこからオープン1ヶ月にも関わらずインスタグラムでCreamartの可愛さが大好評、私のインタビューに加え、どんどん仕事の依頼が来ているのだとか。

Ujaeさんの出身は韓国。
元々はサッカー少年で、プロを目指すほどの実力があったものの怪我が続き断念。
そんな時に両親から提案されたアメリカへの移住。
夢を諦めなければいけない苦渋の決断を迫られたと語るUjaeさんはどこか悲しそうでしたが、アメリカに来てから自分の新たな可能性に気づいたそう。

コーヒーのことを何も知らない状態で軽い気持ち始めたカフェのバイト、トレーニングを重ねていくうちにラテアートの腕がメキメキ上達。
オーナーにはスタートの段階で才能を買われ、あれよあれよという間にマネージャーになり、ラテアートの大会に連れて行かれ、気づいたらコーヒーの世界にどっぷり浸かっていたと笑って話すUjaeさん。

プロのサッカー選手という夢は敗れたが、このカフェが自分のアメリカン・ドリームだと語る彼の目はとても輝いていて、話を聞いてる私までもがつられて笑顔になってしまう。

Creamartはもちろん、Ujaeさんのラテアートはかなりの腕。
2016年度のNew York Coffee Festのラテアート大会では初挑戦でベスト8に食い込む程の実力。

「緊張しちゃうなぁ」

と言いつつ先ほどの笑顔とは打って変わった真剣な表情で注ぐラテアートはとても繊細で精妙な作品。

飲むのがもったいないほど綺麗な作品を作っていただいた後は素敵な笑顔に元どおり。

インタビューの後の記念撮影時には韓国流のピースサインなるもの、親指でハートを作って写真を撮るというのを教えてもらいながらの楽しい時間を過ごしました。

ニューヨークは不思議な魅力を持つ街。
熱気で溢れかえっているようなのに、実はぽっかりと穴が空いているような孤独感があったり。
夢を見たり、挫折したり、情熱的であったり、落胆したり、一人一人それぞれのストーリーがあって、国が違えどなんら変わらない人間模様。
キラキラしているようでギラギラしている街。

そんな濃い十人十色のストーリーを、インタビューを通じて少しでも垣間見れる私はなんてラッキーなんだろう、と今日もコーヒーを飲みながらカフェでほっと一息、束の間の幸せを感じている私でした。

Sweet Moment
106 Mott Street, New York, NY 10013
https://www.sweetmoment.nyc/

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