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Brooklynのディープな世界へようこそ。Morbid Anatomy Museum(解剖博物館)のハロウィーンマーケット

Ayaka Nishi

学生時代、理科室などにあったホルマリン漬けのボトルや骨格標本、昆虫の標本や剥製などに薄気味悪いなぁと思いながらも、ちょっと好奇心を刺激された・・・。皆さんはそんな経験はないだろうか?
普通の女の子の感覚だと、「気持ち悪~い」。「ヤダ~」。で終わるのかもしれないが、私は昔から、そういった生物、化石や植物にとても強い興味があった。

おそらく、幼少時代に鹿児島の自然に恵まれた環境で父や弟と虫捕りをしたり、化石堀りをしていた事や、家の隣りに医者だった祖父のクリニックがあり、その診療室によく出入りしては人体模型などを眺めていた体験が影響しているのかもしれない。

大学生になってからも、顕微鏡をのぞくのが好きだったり、養老孟司プロデュースの人体の不思議展を見て気持ち悪いと好奇心のはざまで心揺れたり、ある意味ちょっと普通からはズレた女の子だった様に思う。日本ではこういったものに興味があるというと非モテの対象になり、ひかれてしまうパターンになるだろう。

しかし、ニューヨークに来てから、意外と骨格標本などに興味がある事に対する風当たりが違うという事に気が付いた。ニューヨークにあるアメリカ自然史博物館という世界的に有名な素晴らしい博物館の存在もそれを後押ししているのかもしれないが、ニューヨークにはそういった生物学や昆虫、骨格標本などに興味がある人が多く、とてもオープンな形でコミュニティも存在している。

SOHOの一等地にある不思議な生物に関わるものを集めたお店、Evolutionは、お店のショーウィンドーに等身大の人骨の骨格標本が置いてあり、様々な骨格標本、化石、ホルマリン漬け、昆虫標本などとても変わったセレクションで有名なお店だが、店内にはいつも多くのお客さんがいる。実は最近より私の骨をテーマしたボーンコレクションもこのお店で展示販売され始める事になった。

Evolution
120 Spring St, New York, NY 10012
http://theevolutionstore.com/

そういった、Oddities(風変わりなもの、奇異なもの)だけを集めた博物館、Morbid Anatomy Museum(病理解剖博物館)もNew YorkのBrooklynに存在し、その博物館では定期的に剥製作りや、ホルマリン漬けを作るワークショップなども開催されすぐに定員オーバーになるらしい。そういった点を見ても、確実にNew YorkにはそういったOddies愛好家のコミュニティが存在すると言えそうだ。

Morbid Anatomy Museum
424-A 3rd Avenue, Brooklyn, NY 11215
http://morbidanatomymuseum.org/

なぜ、New Yorkにはこうしたコミュニティが根付いているのだろうかと考えてみたが、ニューヨークの建物が築150年などの古いものが多く、生活環境自体がビンテージなので、自然と骨格標本や鹿の角などが似合う建物に住んでいる人も多いからというのもあるかもしれない。それに、フリーマーケットやビンテージマーケットなどで昔の生物図鑑のイラストや、鹿の角、人体模型などがオシャレインテリアグッズとして手軽に手に入るので、センスのいい富裕層のインテリアなどに、骨の標本のレプリカや、鹿の角でできたシャンデリアなどが飾られているのを目にするのもそんなに珍しい事ではない。少しユニークだけど、オシャレなインテリアという感覚なのだろう。

このコミュニティが特に活性化するイベントで、Morbid Anatomy Museum主催のイベントがある。このマーケットイベントは年に4回ほどあり、実は10月半ばハロウィーンの時期という事で先日開催された。

実は私も骨や細胞をテーマにしたジュエリーコレクションを制作している事もあり、このミュージアムショップにジュエリーが常設販売されており、ミュージアム関連のイベントには度々関わらせていただいている。今回のマーケットでもまたハロウィーンのテーマに合いそうな、骨や蜘蛛の巣のコレクションを中心に展示販売させていただいたのでこのイベントの様子をレポートしたいと思う。

このイベントの会場はThe Bell HouseというライブハウスでMorbid Anatomy Museumから歩いてすぐの場所で開催された。

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イベントの中でも大人気なブースは骨を売っているRyan Matthew Cohn夫婦のブース。彼はOdditiesというリアリティーTVショーにも出演していてこのコミュニティでは知られている。彼らのブースでは怪しげな歯形の標本や、剥製などが売られていたり・・・。

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色んな動物の頭蓋骨が並べられている・・・。

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昔の医学目的の解剖図や、病気の記録用に撮影された昔のモノクロ写真などが販売されているブース。

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骨をかたどったマグを作って売っている陶芸家のブース。

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私のブースには骨を中心とした商品を展示販売。これは、背骨をイメージしたネックレス。

Spine Necklace
http://www.ayakanishi.com/collections/bone/products/spine-neckless

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他にも細胞をイメージしたコレクション、Cell Collection、蜘蛛の巣をイメージした、Spider Web Collection、魚のウロコをテーマにした Fish Scale Collection、化石を象ったFossil Collectionなどを展示販売した。

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細胞をテーマにした私の作品、Cell Collectionのマスクをつけてくれているお客さん。誰がつけても、けっこう様になる。ちょっとPhantom of Operaみたいで、ハロウィーンにはぴったりのアイテム。

私のジュエリーブランドは、全て自然の形と素材をテーマに作られており、すべてマンハッタンのイーストビレッジにあるスタジオで制作されている。ボーン(骨)、セル(細胞)、クモの巣、蜂の巣、さんご、虫の羽根などをイメージした作品がある。

Ayaka Nishi
www.ayakanishi.com

イベントに来るお客さんの層は、タトゥーが沢山入ったパンクロッカー風な人から、生物や解剖学、アンティークに興味があるアカデミックな雰囲気の人、ヒップスター、アーティストなど様々。
イベントはみんな入りきれずに、外で列ができるほどの人気だった。

なんだか見ちゃいけないものを見ちゃった、あの不思議な感覚。でもなんとなくミステリアスな魅力がある世界。なぜこんなにも人は死に近いものに魅力を感じるのだろうか。
memento mori メメント・モリの精神、「死をいつも胸に留めておこう。」つまり、「前向きにポジティヴに生きよう。我々はいつか、死ぬのだから。」という事を思い出すからだろうか。

あなたも、ニューヨークのディープな世界をのぞいてみませんか?
次のマーケットは12月中旬に開催される予定です。
詳しくはMorbid Anatomy Museumのイベントをチェックするか、私のニュースレターに登録していただければ、イベントの案内なども告知します。

Ayaka Nishi News Letter
http://www.ayakanishi.com/pages/follow-us

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