知ってから訪れたい!憧れの国フランスが抱える移民問題とその歴史
フランス人というと、どのような人種を想像しますか?白人を想像する人がほとんどだと思いますが、フランスに行くと多種多様な人種のフランス人を見かけます。白人はもちろん、黒人や中東、アジア人に見える人もフランス国籍を持っています。なぜこんなにも様々な人種が混在しているのでしょうか?それは、フランスが行った移民政策のため。今日はフランスの移民の歴史と現在フランスが抱える問題について紹介します。
19世紀後半から出生率が低下し始めていたフランスでは、第一次世界大戦を経て人口が大幅に減少しました。そのため、移民を受け入れ出したのが始まりです。第二次世界大戦以降、大きく経済が成長した時期には、安い賃金で働かせるための労働力として、さらに多くの移民を受け入れました。しかし、安い賃金で働かされていた外国人労働者達は、過酷な労働条件とそれに見合わない劣悪な住居環境の改善を求めるためにストライキなどで抗議を始めるようになります。それをきっかけに、フランス政府は就労のための移民受け入れを停止しますが、既に移民としてフランスに来ていた人たちの家族の受け入れなどは認可していたために、その後も移民は増え続けました。
フランスでは、今移民の人たちに対する批判的な感情が膨れ上がってきています。フランスで最も多い移民の出身地はポルトガル、アルジェリア、モロッコです。特に、アルジェリア出身の人に対しては差別的な言葉をよく耳にしました。彼氏の故郷がアルジェリアと知った途端、別れたと言っていたフランス人の女の子もいました。最初の頃、筆者はこんなにも様々な人種が共存しているフランスで、そのような人種差別があることに驚きました。でも、少しずつその理由がわかってきたのです。
筆者がフランスにいる間、バスの中でかばんの中に手を突っ込まれていたのに気付いたり、街中でケンカをしているのを見かけたりしましたが、それらは全てアラビア系の移民でした。観光客も含め、外国人が多いパリでは、無理やり何かを売りつけてこられたり、悪い時にはその隙にスリの被害にもあう人が少なくありません。こういう物売りをしている人は、ほぼ黒人だったりします。今、こんなにも移民差別問題が大きくなってきているのは、移民を受け入れだしてからフランスの治安がひどく悪くなったからです。白人は問題を起こさず、移民は問題を起こすというのではありません。ただ、治安的な問題が起きたとき、結構な確率で移民が関わっているという事実があるのです。
治安の問題だけではありません。政府は職業を持たない移民の人々に多額の生活援助を行っている反面、働く国民からその分税金を取り立てます。このような政府の態度に対する、フランス人の反感が大きくなってきているのです。ただし、政府も一度受け入れた移民を放り出すようなマネはできません。
移民だからと単純に線引きをすることはできません。生活水準が違うことや、失業率など、全ての悪循環によって治安が悪くなったり税金が使われたりするのだと思います。日本では移民問題がないため、このような問題をあまり身近に考えられません。フランスと聞いた時に、移民問題について最初に考える日本人はほとんどいないと思います。だからこそ、知ってほしい問題なのです。おしゃれでエレガントな憧れの国というイメージの強いフランスですが、実際に訪れるとこのような一面が垣間見えることもあります。歴史と問題を知って訪れると、また違った視点で物事を見れるかもしれませんね。
大学時代、将来の夢がなくても、英語が出来れば将来役に立つ!と言われた1ヶ月後、人生初海外のオーストラリアへ短期留学。自分がいた世界の小ささに気付き、そこから旅を始める。バックパッカーで旅をした総期間は3年。旅を通じて習得した英語を磨き、英語教授法TESOL習得後、英会話教師となる。旅中で出会ったフランス人と結婚し、現在1児の母。