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ナチスドイツが残した負の遺産、強制収容所で歴史を学ぶ旅

ふぅ

ヨーロッパの人が日本へ旅行に来たときに、ショックに近い衝撃を受けるものがあります。それは寺のマーク。地図記号でも表される万字「卍」です。これはナチスドイツのシンボルマークであるハーケンクロイツとそっくりなんですね。日本で使われている寺のマークは左回りで、ハーケンクロイツは右回りでよく見ると違うのですが、筆者のヨーロッパの友人が日本に来たとき、至るところにある「ナチスを連想させるマーク」に驚いていました。実は、これはたまたま似ているだけで何の接点もないんです。でもハーケンクロイツしか知らない人に取っては衝撃なんですね。今日はナチスドイツの歴史について触れてみましょう。

ドイツ人だけでなく、ヨーロッパ諸国の人々でハーケンクロイツを知らない人はいません。ユダヤ人の集団殺戮という恐ろしい歴史を持つナチスのシンボルマークは、面白がってどこかへ描けるようなものでもありません。全ての人にとって、このマークは深い意味を持っているのです。ナチスドイツのヒトラーが残した黒い歴史は、ヨーロッパの人だけでなく世界中の人が知っています。日本でも知っている人は多いでしょう。とりわけよく知られているのが20世紀最大の負の遺産と言われているアウシュヴィッツ強制収容所です。アンネ・フランクの日記で知られているアンネが収容されていたからでしょうか。アウシュヴィッツはドイツにあると思っている人が多いと思いますが、実はポーランドにあるんです。ちなみにアンネが隠れていた家があるのはオランダのアムステルダム。ナチスに関係するものがあるのはドイツというイメージがありますが、収容所などは占領地にも建てられているのでそうではないんですね。

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ドイツでは、首都ベルリンにザクセンハウゼン強制収容所が建てられました。ベルリン中心部から電車一本で行くことができます。筆者がドイツで訪れた収容所はここのみですが、190ヘクタールにも及ぶ巨大な敷地内にはかつての恐ろしい悲劇の痕跡が散在していました。どの強制収容所にもかかげられている「働けば自由になる」を意味する言葉が扉につき、中には見渡せるほど広大な土地が広がります。その中に、囚人が縛り付けられて拷問された木の柱や、人体実験が行われた部屋、ガス室、死体安置所などがそのままに残されています。囚人が収容されていたバラックの建物の中は博物館になっていて、当時の写真や遺物が展示されています。ざっと全てを見て回るのに数時間はかかります。決して気持ちの良い観光地ではありません。それでも訪れれば、負の歴史を身近に感じるとても貴重な体験になることでしょう。

ヒトラーが独裁政権を良いままにしていたのはおよそ80年も前になりますが、ドイツの人々は今もそれを遺憾に思っています。これは筆者が個人的に感じたことですが、ドイツの人々はヒトラーのことを聞かれても積極的に話したがりません。自国の歴史のことですが、今なおそれを恥じているように感じました。ですから、この歴史を少しでも知るためには実際に自分の目で見て確かめるのが一番です。ドイツを訪れる機会があれば、この負の遺産を訪れて自分なりに歴史を感じてみてくださいね。

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