白人と先住民族マオリ族が共存する国ニュージーランド
ニュージーランドを代表するスポーツと言えばラグビー。野球やサッカーほどポピュラーではないものの、日本でも高校ラグビーの試合なんかは盛り上がりますよね。ニュージーランドのラグビー代表チーム「オール・ブラックス」の試合では、試合以前に観客が楽しみにしているパフォーマンスを見ることが出来ます。それはハカ。大きなラグビー選手達が足を踏みしめて力強いダンスをするんです。ハカはニュージーランドの先住民マオリ族の伝統のダンスです。今日は筆者がニュージーランドで見たニュージーランドのマオリ族について紹介します。
マオリ族はニュージーランドの地に最初にたどり着いた先住民。その後、イギリスのキャプテン・クックによって発見され、スコットランドやアイルランドから多くの移民が入植しました。ニュージーランド人というと白人のイメージがありますが、それは元々の祖先がヨーロッパからの移民であることが多いからなんですね。元々のマオリ族はポリネシア系で茶色っぽい肌色をしています。
今もニュージーランドの地名はほとんどがマオリ語。マオリ族は書く文化を持っていないので、言葉は口頭で伝承されてきました。筆者が驚いたのは、ニュージーランドにある世界で一番長い名前を持つ丘「タウマタファカタンギハンガコアウアウオタマテアポカイフェヌアキタナタフ」。適当にカタカナを並べたわけではありません。マオリ語は日本語の発音に近いので、ほぼこのカタカナで読む通りの発音です。マオリ族には、白人と同様に暮らしている人もいれば、自分達の伝統文化を大切に守って質素に暮らしている人たちもいます。そんな中で言葉も守られているんですね。
マオリ族の95パーセントは北島に住んでいます。筆者も南島では全くマオリ族を見かけませんでしたが、北島のオークランドではよく目にしました。目に付いたのはマオリのホームレス達。オークランドの中心を走るクイーンストリートには物乞いをするホームレスが少なくありません。そのほとんどがマオリ族の人たちです。中にはとても太っているホームレスもいて、なぜ物乞いをするようなホームレスがあんなに太っているの、と聞いたことがあります。それは、お金がないがために毎日食べられる食事がマクドナルドなどの安いファーストフードだから。確かに、マクドナルド内でホームレスを見かけたことも何度かありました。
白人の中には「マオリ族は怠け者だ」という人もいます。筆者がニュージーランドにいる間には、少数派ではあるものの民族間の差別感情を垣間見ることもありました。理由は、マオリ族の失業率が白人の二倍以上であり、職を失ったマオリ族が政府からの補助金を受けて生活しているからです。その事実に対して、税金を使われていると感じる白人がいるんですね。でも、元々はマオリ族の土地であったニュージーランドに白人が入植してきたんです。歴史と現状を知って、外国人としてこの国を見ると複雑な気持ちになります。
一方、マオリ族の文化はニュージーランドの中で大切に守られています。全国の博物館などでマオリ族の文化を知るスペースや、パフォーマンス、ショーなどが行われ、マオリ族の作るハンギ料理を試せたり、ハカを教えてもらえたりします。ニュージーランドを訪れる機会があれば、是非マオリの文化にも触れてみてくださいね。きっと面白い発見がありますよ。
大学時代、将来の夢がなくても、英語が出来れば将来役に立つ!と言われた1ヶ月後、人生初海外のオーストラリアへ短期留学。自分がいた世界の小ささに気付き、そこから旅を始める。バックパッカーで旅をした総期間は3年。旅を通じて習得した英語を磨き、英語教授法TESOL習得後、英会話教師となる。旅中で出会ったフランス人と結婚し、現在1児の母。