野鳥のサンクチュアリ!緑と青が溢れる人が住む最南端の島を歩こう
人が住む最南端の島を知っていますか。ニュージーランドにあるスチュワート島です。400人ほどが住む小さな島の90パーセントはニュージーランドの国立公園に指定されており、大自然溢れる島は野鳥のサンクチュアリと呼ばれるほどに様々な野鳥が観測されています。今日はスチュワート島の大自然が魅せる絶景と野鳥たちを紹介しましょう。
スチュワート島へのアクセスは、ニュージーランド南島のインバカーギルから飛行機で飛ぶか、もしくは南島最南端の町ブラフからフェリーで行く方法があります。筆者はフェリーで向かいましたが、暖かい飲み物などが提供される快適なフェリーからは、コバルトブルーの海の景色が眺められるだけではありません。この海域には多くのイルカがいるようで、スチュワート島までの間にイルカが姿を見せることは珍しくないようです。筆者も、フェリーを追いかけて遊ぶ2頭のイルカに出会いました。コスト面においてもフェリーのほうが安いのでオススメです!
筆者がスチュワート島へ行った目的は、野生のキウイを見るためでした。キウイというのはニュージーランドのみに生息する鳥で、ニュージーランドの国鳥でもあります。近年、数はどんどん減少しており、ニュージーランド国内でも見られる場所がかなり限られている中、スチュワート島は野生のキウイが見られる数少ない場所のひとつ。しかし、キウイは夜行性です。運が良ければ昼間見ることもできますが、夜になれば行動が活発になるため、筆者も5日間キャンプをしながら夜のキウイを待ちました。ところが、警戒心の強いキウイはなかなか現れてくれません。現れたのは眠さに耐え切れずテントの寝袋で半分寝てしまってからのこと。けたたましい泣き声で目が覚めました。キウイは飛べないため、周りの草木の中をバサバサと音を立てながら進んでいます。キウイという名前は、泣き声が「キーウィ!」と聞こえるところからついたそうですが、予想していたほど美しい泣き声ではありませんでした。残念ながら真っ暗な中、その姿ははっきりと確認できず。でもスチュワート島には2000羽もの野生のキウイがいるそうなので、運が良ければきっと出会うことができます。見た目も茶色で地味な鳥ですが、それがまたなんだか愛らしいキウイ。ニュージーランドに行くなら一度は見ておきたい鳥です。
スチュワート島にはいくつかのトレッキングコースがあり、中でもラキウラトラックはニュージーランドに9つあるグレート・ウォークの一つでもあります。少々ぬかるんでいる場所はあったものの、全体的に整備が整っていてとても歩きやすいコースでした。森の中を歩いていると、突然目の前が開け、美しい海岸線が広がります。天気の良い日は太陽の光が透明度の高い海を照らし、トレッキングコースの木々の間から絵の具のような水色と深い青が入り混じる美しい海を眺めながら歩くことができます。コース中にあるハットは海岸沿いに建っているものもいくつかあり、目の前の大海と海岸沿いの奇岩の絶壁のコンビネーションを楽しめる場所や、入り江になった森の緑に囲まれた海に建つものもあり、疲れた脚を癒す絶景が色々なところに広がっています。ニュージーランド本土からも離れているせいか、他のグレートウォークよりも人が少なく、大自然を独り占めしているような特別な気分が味わえるのがラキウラトラックの良いところです。
キウイハンティングだけでなく、スチュワート島では様々な種類の野鳥の観測が出来ます。鮮やかな黄色や緑色のオウムなど、日本ではペットショップ以外では見られないような美しい色をした野鳥が飛んでいるので、島を歩きながらついつい木々の合間を探してしまいます。すずめのような小さなロビンという鳥は、色は地味なもののとてもフレンドリー。じっとしていると、チョンチョンと飛び跳ねながら少しずつ近づいてきて、体の上に乗ったりもします。ニュージーランド全土で見られるファンテールという鳥は、名前の通り扇状に広がる真っ白な尾が特徴で、スチュワート島の森でも飛んでいました。見た目だけでなく、鳴き声も美しく響き渡ります。
さらに筆者を何度も驚かせてくれたのがウェカという鳥。見た目がキウイにそっくりなんです。ですが、ウェカは昼間でもよく見かけ、さらに比較的人馴れしているようであまり逃げません。キウイ同様茶色で飛ばず、大きさも同じようなために、見る度にキウイかと思い息を止めて見てしまいます。何かを食べてくると食べ物を狙ってやってくるので、あまり可愛げはありませんが、ウェカもニュージーランドの固有種です。
スチュワート島ならではかもしれませんが、森を歩いているとペンギンに遭遇したりもしました。スチュワート島近海ではアシカやペンギンも多く、上陸してくることも珍しくないそうです。海岸沿いに森が隣接しているので、海から入ってきたのかもしれませんね。
島へ奥深く入れば入るほど、人里から離れ、まるで太古の島にやってきたかのように感じさせる雰囲気も持ち合わせるスチュワート島。たくさんの野鳥を含む野生動物たちを見つけながらのトレッキングで、海と森の絶景を楽しんでみてはいかがですか。
大学時代、将来の夢がなくても、英語が出来れば将来役に立つ!と言われた1ヶ月後、人生初海外のオーストラリアへ短期留学。自分がいた世界の小ささに気付き、そこから旅を始める。バックパッカーで旅をした総期間は3年。旅を通じて習得した英語を磨き、英語教授法TESOL習得後、英会話教師となる。旅中で出会ったフランス人と結婚し、現在1児の母。